ISBN:4063634655 コミック コージィ城倉 講談社 ¥420









~あらすじ~
GP静岡。ヒデは『スタンダードの貴族』を破り、ベスト8を決めた。



~第12話~



・・・



ショウ達は遠巻きにヒデが祝福されているのを眺めていた。
一番祝ってあげたいのはおれ達なのに―――
何とも言いがたいこの感情がショウ達を動けなくさせていた。

「・・・外の空気でも吸いに行くか」
「・・・そうだな」

ショウとコウタは最終ラウンドを前にテンションを上げられずにいた。ヒデのプレイオフ進出は自分達に取っても嬉しいはずなのに。

「お!こんな所にいたのか!」

ヒデが煙草を吸いに来たのか、外に居たショウ達に気付いた。

「もうどこ居たんだよ。TOP8、入ったぜ!」
「・・・知ってますよ」

どこと無く掴み所のないショウとコウタを見たヒデは、

「あ!もしかしてショウ君達の知らないプレイヤーと仲良くしてたから妬いてたんじゃない?」
「ち・・・違いますよッ・・・!」

図星だった。
俺たちが一番仲がいいはずなのに。
何であの場所に俺たちが居られなかったんだ。
そんなショウ達の気持ちにヒデは気付いていた。

「あはは。そんなことか。でも、一番感謝してるのはおまえ達だよ。一番の仲間だ」
「ヒデさん―――」

涙が出そうになった。ちらりと横をみるとコウタも俯き加減に堪えている様にも見える。ユウジはいつも通りのアホ面だ。

「ヒデさん!優勝した時は最初に俺たちとハイタッチしてくださいね!!」
「はは。分かったよ、約束だ」

GP静岡。予選最終ラウンド。

「コウタの相手は知ってるやつか?」
「・・・いや、知らない人だ。ショウは?」
「んーこの人だ。名前知ってるか?」
「あ、おれこの人に負けた。フェアリーだな」
「まじか!よーし、相性いいぞ!!!」
「・・・だが油断するなよ、ショウ」

第16ラウンド。現在11-4。すでにプレイオフの目のないショウだが、これに勝てばTOP32は狙えるラインだ。
相手のデックはコウタの言っていた通り青黒フェアリー。
確かに相性では赤単の方に分はあるかもしれない。
が、game1を先手を取られたショウは《苦花/Bitterblossom(MOR)》から《霧縛りの徒党/Mistbind Clique(LRW)》によるビートダウンに屈し、game2もワンマリガン後に《霧縛りの徒党/Mistbind Clique(LRW)》2連打を浴び敗北した。

最終成績は11-5。コウタは最終戦を引き分けたため11-4-1でフィニッシュ。

「・・・おれの勝ちだな、ショウ」
「く、悔しいけどッ・・・!」
「まあこれで1-0ってことで。後は兄貴の応援でもするか」
「お、おう!」

いよいよGP静岡も8人のプレイヤーに絞られた。
フューチャリングテーブルに着くとTOP8のプレイングを観戦しようと多くの野郎共が集まっていた。

「おい、コウタ!ヒデさんの相手だれだ?」
「あれは・・・でぶだ」
「いや、見れば分かるよ」
「やれやれだぜ。ユウジ、解説を頼む」

Aleksi Briclotのサインカードを見ながらニヤニヤしていたユウジが解説を始めた。

「ショウちゃん。彼の愛称が『でぶ』なんだ。俗説によると某北海道出身のプレイヤーが名付けたとのことだけど、その愛称のおかげで、上京してきた『でぶ』は関東のプレイヤー達とも打ち解けるようになったらしいよ!」
「そ、そうなのか」
「うん!あと有名なのは『根絶舌打ち手札投げ事件』だね!!あそこに座ってるあんちゃん―――高橋優太さんとのビデオマッチで起こった事件なんだけど、詳細はニコニコ動画で調べてね!」
「お、おう」

そうこうしている内にプレイオフ1回戦が開始された。

ショウ達が注目しているヒデ対でぶ。
game1はヒデが《雨雲の迷路/Nimbus Maze(FUT)》などもあるが無色マナしか出ない事故にて敗北。game2は無限を決めたヒデに軍配が上がる。
そして迎えたgame3。序盤は《傲慢な完全者/Imperious Perfect(LRW)》が通ってしまうも《神の怒り/Wrath of God(10E)》で一掃。返しででぶも《レンの地の克服者/Wren’s Run Vanquisher(LRW)》《傲慢な完全者/Imperious Perfect(LRW)》と並べ返すも2枚目の《神の怒り/Wrath of God(10E)》。
そのまま《テフェリーの濠/Teferi’s Moat(TSP)》が地上を制圧し、飛行生物達が上空をも制圧した。

ヒデ2-1でぶ

「・・・やりましたね、ヒデさん!!!」
「ああ、ちょっとgame1の勢いのまま押し切られたらまずかったね。でも・・・次が勝負だな」

タバコの煙が染みるのか、目を細めながらつぶやいた。

プレイオフ2回戦。フューチャーマッチテーブルで談笑しているヒデと対戦相手を見守るショウ。

「―――ここであんちゃんとか。決勝で会いたかったな」
「僕もですよ。でも、ここで当たっちゃったらやるしかないですね」

「なあ、ユウジ。ヒデさんの対戦相手って誰?」
「彼は・・・あんちゃんだよ」
「あんちゃんってさっきの『根絶舌打ち手札投げ事件』の・・・?」
「うん。でぶが勝っていたらあの事件の再来だったってことだね。ちなみにあんちゃんっていうのは新潟出身のプレイヤーであのTwo-Head Giantで行われたPTサンディエゴの・・・」

ユウジのミーハーっぷりが発揮されている間にゲームが開始されていた。慌てて盤面に視線を戻す。

ヒデのデックは青白ヒバリに対してあんちゃんは青黒フェアリー。どうやらヒデのワンマリガンからゲームが始まったようだ。

あんちゃんは1ターン目から《祖先の幻視/Ancestral Vision(TSP)》、ヒデは《精神石/Mind Stone(10E)》からスタート。お互い理想の回りといってもいいであろう。
その後、あんちゃんの《やっかい児/Pestermite(LRW)》を《誘惑蒔き/Sower of Temptation(LRW)》で奪ったヒデ。しかしあんちゃんは《苦花/Bitterblossom(MOR)》を入手し、2枚目の《祖先の幻視/Ancestral Vision(TSP)》を待機しながら設置する。
返しのターンでヒデは《目覚ましヒバリ/Reveillark(MOR)》をキャストするも、あんちゃんの《祖先の幻視/Ancestral Vision(TSP)》の待機がとうとう解け、新鮮な3枚のカードがハンドへ。
その後《霧縛りの徒党/Mistbind Clique(LRW)》を《造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant(FUT)》>《ルーンのほつれ/Rune Snag(CSP)》などで抵抗したヒデだが、2枚目の《祖先の幻視/Ancestral Vision(TSP)》によって6枚目の土地を手に入れたあんちゃん。再びキャストされた《霧縛りの徒党/Mistbind Clique(LRW)》が場に着地するとそのまま《神の怒り/Wrath of God(10E)》も封殺されカードを片付けた。

ヒデ0-1あんちゃん

game2。
お互いにマリガンは無し。あんちゃんは再び《祖先の幻視/Ancestral Vision(TSP)》の待機からゲームをスタートさせる。
一方のヒデは3ターン目の《熟考漂い/Mulldrifter(LRW)》想起からゲームをスタートさせるが・・・土地が4枚でストップ。
そうこうしている内に《祖先の幻視/Ancestral Vision(TSP)》によりアドバンテージを取り、《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite(LRW)》と《変わり谷/Mutavault(MOR)》によってビートダウンを始めるあんちゃん。
《ウーナの末裔/Scion of Oona(LRW)》がキャストされるのを見届けると、ヒデは右手を差し出した。

ヒデ0-2あんちゃん

ショウたちは負けたヒデになんて言おうか、と考えている内にフューチャーテーブルでは敗北したヒデも含めてあんちゃん達でプレイングの論議を始めていた。

「なあ、コウタ・・・やっぱりみんなマジックが好きなんだな」
「ああ。俺たちもああいうところ見習わなくちゃいけないな」
「―――今度は、おれがあの場所にいるんだ」

その後、あんちゃんはフランスのOlivier Ruelを倒しGP静岡の王者となった。

「ヒデさん、ベスト4おめでとうございます!!!」
「あはは、ありがとう。でも悔しいなぁ」
「大丈夫ですよ!次はおれが勝ちますから!」
「大丈夫の意味がわからんし。まあハリウッドあるからな・・・勝ってくるよ」
「―――練習、付き合いますよ」


~つづく~

コメント

もりお
2008年10月20日11:39

でぶ登場に激しく萌えた。。。。。。。。。。。。。

れっづ
2008年10月20日21:10

でぶファンキタコレw

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