ISBN:4063634655 コミック コージィ城倉 講談社 ¥420









~あらすじ~
GP静岡。ヒデは『スタンダードの貴族』を破り、ベスト8を決めた。



~第12話~



・・・



ショウ達は遠巻きにヒデが祝福されているのを眺めていた。
一番祝ってあげたいのはおれ達なのに―――
何とも言いがたいこの感情がショウ達を動けなくさせていた。

「・・・外の空気でも吸いに行くか」
「・・・そうだな」

ショウとコウタは最終ラウンドを前にテンションを上げられずにいた。ヒデのプレイオフ進出は自分達に取っても嬉しいはずなのに。

「お!こんな所にいたのか!」

ヒデが煙草を吸いに来たのか、外に居たショウ達に気付いた。

「もうどこ居たんだよ。TOP8、入ったぜ!」
「・・・知ってますよ」

どこと無く掴み所のないショウとコウタを見たヒデは、

「あ!もしかしてショウ君達の知らないプレイヤーと仲良くしてたから妬いてたんじゃない?」
「ち・・・違いますよッ・・・!」

図星だった。
俺たちが一番仲がいいはずなのに。
何であの場所に俺たちが居られなかったんだ。
そんなショウ達の気持ちにヒデは気付いていた。

「あはは。そんなことか。でも、一番感謝してるのはおまえ達だよ。一番の仲間だ」
「ヒデさん―――」

涙が出そうになった。ちらりと横をみるとコウタも俯き加減に堪えている様にも見える。ユウジはいつも通りのアホ面だ。

「ヒデさん!優勝した時は最初に俺たちとハイタッチしてくださいね!!」
「はは。分かったよ、約束だ」

GP静岡。予選最終ラウンド。

「コウタの相手は知ってるやつか?」
「・・・いや、知らない人だ。ショウは?」
「んーこの人だ。名前知ってるか?」
「あ、おれこの人に負けた。フェアリーだな」
「まじか!よーし、相性いいぞ!!!」
「・・・だが油断するなよ、ショウ」

第16ラウンド。現在11-4。すでにプレイオフの目のないショウだが、これに勝てばTOP32は狙えるラインだ。
相手のデックはコウタの言っていた通り青黒フェアリー。
確かに相性では赤単の方に分はあるかもしれない。
が、game1を先手を取られたショウは《苦花/Bitterblossom(MOR)》から《霧縛りの徒党/Mistbind Clique(LRW)》によるビートダウンに屈し、game2もワンマリガン後に《霧縛りの徒党/Mistbind Clique(LRW)》2連打を浴び敗北した。

最終成績は11-5。コウタは最終戦を引き分けたため11-4-1でフィニッシュ。

「・・・おれの勝ちだな、ショウ」
「く、悔しいけどッ・・・!」
「まあこれで1-0ってことで。後は兄貴の応援でもするか」
「お、おう!」

いよいよGP静岡も8人のプレイヤーに絞られた。
フューチャリングテーブルに着くとTOP8のプレイングを観戦しようと多くの野郎共が集まっていた。

「おい、コウタ!ヒデさんの相手だれだ?」
「あれは・・・でぶだ」
「いや、見れば分かるよ」
「やれやれだぜ。ユウジ、解説を頼む」

Aleksi Briclotのサインカードを見ながらニヤニヤしていたユウジが解説を始めた。

「ショウちゃん。彼の愛称が『でぶ』なんだ。俗説によると某北海道出身のプレイヤーが名付けたとのことだけど、その愛称のおかげで、上京してきた『でぶ』は関東のプレイヤー達とも打ち解けるようになったらしいよ!」
「そ、そうなのか」
「うん!あと有名なのは『根絶舌打ち手札投げ事件』だね!!あそこに座ってるあんちゃん―――高橋優太さんとのビデオマッチで起こった事件なんだけど、詳細はニコニコ動画で調べてね!」
「お、おう」

そうこうしている内にプレイオフ1回戦が開始された。

ショウ達が注目しているヒデ対でぶ。
game1はヒデが《雨雲の迷路/Nimbus Maze(FUT)》などもあるが無色マナしか出ない事故にて敗北。game2は無限を決めたヒデに軍配が上がる。
そして迎えたgame3。序盤は《傲慢な完全者/Imperious Perfect(LRW)》が通ってしまうも《神の怒り/Wrath of God(10E)》で一掃。返しででぶも《レンの地の克服者/Wren’s Run Vanquisher(LRW)》《傲慢な完全者/Imperious Perfect(LRW)》と並べ返すも2枚目の《神の怒り/Wrath of God(10E)》。
そのまま《テフェリーの濠/Teferi’s Moat(TSP)》が地上を制圧し、飛行生物達が上空をも制圧した。

ヒデ2-1でぶ

「・・・やりましたね、ヒデさん!!!」
「ああ、ちょっとgame1の勢いのまま押し切られたらまずかったね。でも・・・次が勝負だな」

タバコの煙が染みるのか、目を細めながらつぶやいた。

プレイオフ2回戦。フューチャーマッチテーブルで談笑しているヒデと対戦相手を見守るショウ。

「―――ここであんちゃんとか。決勝で会いたかったな」
「僕もですよ。でも、ここで当たっちゃったらやるしかないですね」

「なあ、ユウジ。ヒデさんの対戦相手って誰?」
「彼は・・・あんちゃんだよ」
「あんちゃんってさっきの『根絶舌打ち手札投げ事件』の・・・?」
「うん。でぶが勝っていたらあの事件の再来だったってことだね。ちなみにあんちゃんっていうのは新潟出身のプレイヤーであのTwo-Head Giantで行われたPTサンディエゴの・・・」

ユウジのミーハーっぷりが発揮されている間にゲームが開始されていた。慌てて盤面に視線を戻す。

ヒデのデックは青白ヒバリに対してあんちゃんは青黒フェアリー。どうやらヒデのワンマリガンからゲームが始まったようだ。

あんちゃんは1ターン目から《祖先の幻視/Ancestral Vision(TSP)》、ヒデは《精神石/Mind Stone(10E)》からスタート。お互い理想の回りといってもいいであろう。
その後、あんちゃんの《やっかい児/Pestermite(LRW)》を《誘惑蒔き/Sower of Temptation(LRW)》で奪ったヒデ。しかしあんちゃんは《苦花/Bitterblossom(MOR)》を入手し、2枚目の《祖先の幻視/Ancestral Vision(TSP)》を待機しながら設置する。
返しのターンでヒデは《目覚ましヒバリ/Reveillark(MOR)》をキャストするも、あんちゃんの《祖先の幻視/Ancestral Vision(TSP)》の待機がとうとう解け、新鮮な3枚のカードがハンドへ。
その後《霧縛りの徒党/Mistbind Clique(LRW)》を《造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant(FUT)》>《ルーンのほつれ/Rune Snag(CSP)》などで抵抗したヒデだが、2枚目の《祖先の幻視/Ancestral Vision(TSP)》によって6枚目の土地を手に入れたあんちゃん。再びキャストされた《霧縛りの徒党/Mistbind Clique(LRW)》が場に着地するとそのまま《神の怒り/Wrath of God(10E)》も封殺されカードを片付けた。

ヒデ0-1あんちゃん

game2。
お互いにマリガンは無し。あんちゃんは再び《祖先の幻視/Ancestral Vision(TSP)》の待機からゲームをスタートさせる。
一方のヒデは3ターン目の《熟考漂い/Mulldrifter(LRW)》想起からゲームをスタートさせるが・・・土地が4枚でストップ。
そうこうしている内に《祖先の幻視/Ancestral Vision(TSP)》によりアドバンテージを取り、《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite(LRW)》と《変わり谷/Mutavault(MOR)》によってビートダウンを始めるあんちゃん。
《ウーナの末裔/Scion of Oona(LRW)》がキャストされるのを見届けると、ヒデは右手を差し出した。

ヒデ0-2あんちゃん

ショウたちは負けたヒデになんて言おうか、と考えている内にフューチャーテーブルでは敗北したヒデも含めてあんちゃん達でプレイングの論議を始めていた。

「なあ、コウタ・・・やっぱりみんなマジックが好きなんだな」
「ああ。俺たちもああいうところ見習わなくちゃいけないな」
「―――今度は、おれがあの場所にいるんだ」

その後、あんちゃんはフランスのOlivier Ruelを倒しGP静岡の王者となった。

「ヒデさん、ベスト4おめでとうございます!!!」
「あはは、ありがとう。でも悔しいなぁ」
「大丈夫ですよ!次はおれが勝ちますから!」
「大丈夫の意味がわからんし。まあハリウッドあるからな・・・勝ってくるよ」
「―――練習、付き合いますよ」


~つづく~
ISBN:4063634655 コミック コージィ城倉 講談社 ¥420







ペニス!!(挨拶

最近時間が空けばとにかくデッキとのシンクロ率を上げるために回したり姦したり愛で付けたり頑張っております。
この間のGPTで奇跡のレアとか全部集めきったのであとはもとき兄ちゃんからコモンを借りるだけです。
つかこないだのオーガのプレパ出たおかげでだいたい集まったからよかった。
賞品出るのが3−0縛りとかでやさぐれてたけどこっそり青緑と白黒のフィルターを引いといたのでそれが効きました。たまんね。





〜あらすじ〜
ユウジ以外は2日目に残った。



〜第11話〜



・・・



全く眠れなかった。
遠足の前の日は眠れなくなるというが、ショウにとっては2日連続で遠足だ。
頭の中では、表彰台でガッツポーズをする自分を想像したり、優勝コメントで何を言おうか。
反面、マナスクリューに陥り対戦相手に煽られながら膝を付く、火力をトップデックしなければならない所で《山/Mountain(LRW)》をトップ。
様々なシーンがショウの頭の中を駆け巡る。正に桃源郷。

全く眠れぬまま朝になってしまった。
ショウらが宿泊しているホテルでは朝食バイキングがある。コータ、ユウジらとおにぎりと暖かい味噌汁を飲み英気を養った。

いよいよ2日目が始まる。
初日9回戦終え、さらに2日目は7回戦を行う。通常通りであるならば13-3のOP%上位までがTOP8進出となるであろう。
現在ショウとコータは7-2。ユウジはサイン会だ。

「・・・コータ、負けんじゃねーぞ」
「誰に言ってるんだ。おまえこそな、ショウ」

お互いの健闘を称えつつ、男臭いペアリングシート前へと飛び込んだ。

ショウの相手はUWヒバリ。《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks(SHM)》には手を焼いたが、相手を焼ききった。8-2。

「おう、コータ。もちろん勝ったよな?」
「当たり前だろ」
「相手のデッキは?」
「あれは・・・伝説の“よせまん”だ」

“よせまん”。あの『皇帝』森勝洋が《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord(CHK)》をフューチャーし、使用プレイヤー3名中3名がプレイオフ進出。そしてデザイナーの『皇帝』がそのままタイトルを勝ち取った2005年GP新潟。
この大会の中で一部の強豪プレイヤー達があるデッキに注目し、使用した。UWGコントロール。それが“よせまん”だ。
その後、時を経て2007年GP京都。奇しくも“時のらせん”ブロックがリリースされた構築シーズン。
数々の古豪達がタイムシフトする中、“よせまん”もタイムシフトする・・・予定であった。
大人の事情により“よせまん”は“Y士郎ゴブリン”と共にタイムシフトすることはなかった。
GP京都を優勝し、その勢いのままその年のRookie of the Yearを勝ち取った渡辺雄也の言葉はあまりにも有名だ。

「もし、どちらか片方のデッキでも会場に存在していたら・・・僕のRookieも無かっただろうね」

「・・・な、なんでそんな伝説のデッキが復活したんだ?」
「おそらくGPの賞金だな。彼にも背負うものが出来たんだろう」
「・・・」

第15ラウンド。
それまでにショウ・コータ共に4敗目を喫していた。さすがにGP2日目は甘くなかった。
だがしかし、上位にはPTの権利がある。ただ、それを目指してショウ達は勝ちを目指す。ユウジはAleksi Briclotのサインをゲットした。

席に付くと、まず深呼吸をした。
過去の自分を乗り越えることは容易ではない。ましてや、あまり思い出したくもない体験をした過去の自分。
席に付いたのはハゲ・・・ではない。元ハゲだ。
あの大会。初めてショウの出た大会。ぱっと見ヤクザのハゲに蹂躙された苦い思い出。手も足も出なかった。
だが、今回は違う。あれからヒデに師事し、コータや金魚の糞らと切磋琢磨し合った日々。この対決に勝てれば、
また一つ強くなれる。ショウは熱くもなりすぎず冷静。俗に言う,
「冷静に熱く」なっていた。
相手のデッキはGBビッグマナ。当然キーカードは《原初の命令/Primal Command(LRW)》であろう。
game1は引かれずにそのままバーンカードで焼ききった。game2は《原初の命令/Primal Command(LRW)》を2発叩きこまれ、命令に連れられた《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》に押し切られた。
そしてgame3。《原初の命令/Primal Command(LRW)》を1発打たれ、相手の場には《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》が2体。ショウの場にも《モグの狂信者/Mogg Fanatic(10E)》をはじめミシュラランドなどのクロック。
お互いのハンドは土地ということは分かっている。ここからは引き比べになる。
ライフはショウが12、元ハゲのライフは8。ここでショウは1枚のカードを叩きつける。

「《怒鳴りつけ/Browbeat(TSP)》ッ・・・!」

元ハゲは苦渋の選択、5点のダメージを受ける。《モグの狂信者/Mogg Fanatic(10E)》も考えるとほぼリーチである。叩きつける様にしてドロー。引けない。渋々《樹上の村/Treetop Village(10E)》をセットしてターンを返す元ハゲ。
ショウはゆっくりアンタップし、カードを引いた。

《火葬/Incinerate(10E)》

ショウはまた一つ強くなった。熱い戦いが終わると心地よい気分になる。
荷物をバッグにしまい込み、席を立つ。残り制限時間は残り10分か・・・と考えると同時に思い出した。
辺りを見渡し、ちょっとした人だかりを見付けた。急いで駆けつけると、ヒデの姿を見つけた。

人と人との間からなのでよく見えない。が、相手のデッキはGBエルフなのは把握出来た。
対戦相手は誰だろう・・・と思っているとユウジが袖を引っ張ってきた。少し離れた所で、
「おい、ヒデさんの相手誰なんだ?プロか?」
「うん・・・相手のデッキは見たでしょ?緑黒エルフ。緑黒エルフと言ったら・・・」
「・・・言ったら?」
「現在の緑黒エルフをほぼ完成させたといっても過言ではないよ。あのプレイヤーは『スタンダードのきちk・・・』じゃないや。『スタンダードの貴族』だよ。」
「あ、あいつが、あの有名なきちk・・・じゃなくて貴族かッ!」

ヒデはここまで12-3。このラウンドで勝利が出来れば「ほぼ抜け」ラインに乗る。
だがしかし―――『スタンダードの貴族』――――

残り時間も残り5分を切った。お互いの場は混沌としている。貴族のクロックをヒデがいなし、ヒデのクロックを貴族が除去していく。ヒデのライフは5、貴族のライフは3。
場には静寂が戻りつつある。ヒデの場には生き残った《熟考漂い/Mulldrifter(LRW)》。静かに時を刻む。ヒデのターンになり、ドロー。
空飛ぶ2/2が貴族に噛み付き、残りライフは1。

「・・・Go」

ヒデがターンエンドを宣言すると、文字通り二人は睨み合った。
貴族がゆっくりカードを引く。
そして、幾多のプレイヤーの命を奪ったであろう1枚を叩きつける。

「《不敬の命令/Profane Command(LRW)》。モードはライフルーズと・・・」

貴族はモード選択をし終える前に、がっくりと項垂れた。
ヒデの公開したカードは―――《造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant(FUT)》

拍手の中、ヒデが仲間達に囲まれている。ショウたちは遠くからその光景を眺めていた。


〜続く〜
ISBN:4063635414 コミック コージィ城倉 講談社 2006/2/17 ¥420







〜あらすじ〜
Finals予選にて汚れた勝利を自らの手で蹴ったショウはその後、FNM優勝などの実力を持つプレイヤーに育った。



〜第10話〜

・・・

「ここが静岡か。初めてキタZEッ!!!」
「はは、コケるぞ・・・ショウ!」

勢いよく新幹線から飛び降りたショウを笑いながら軽口を叩くコータ。その後をユウジが続く。

いよいよGP静岡が始まる。もちろん3月の上旬といえば平日には学校がある。彼らは土曜日の朝早くから東京を発ち、静岡を目指した。

「やっぱ遠征っていいな!ワクワクすんぞッ・・・!!!」
「新幹線で爆睡してたくせにテンション高いな。まあいいや。先に兄貴も会場行ってるから急ぐぞ」

大会のエントリーはヒデに前日受付を頼んである。後は会場に行くのみ。

・・・

「ここがGP会場かぁ・・・大きいね、ショウちゃん!」
「ああ、いよいよ来たんだなって感じがするぜ!!!」

MTGを始めてから初のGP参加。この高揚感はショウでなくても抑えきれない。

「コータ、こっちだ!」

テンションの高い3人組を見付けたヒデが近寄ってくる。

「あ、ヒデさん!!!おはようっす!!!」
「おーショウくん。デッキはちゃんと出来たかい?」
「もちろんですよッ!こいつでGPを駆け抜けるッ・・・!!」

デッキシートに記入し、ほどなくしてGP静岡が開幕した。ユウジはGPTの功績により3Bye、ヒデとコータはRatingにより2Bye。そしてショウはRatingが1790なため1回戦からスタートだ。

「・・・それじゃ行ってきます、ヒデさん!!!」

「ああ、今までいっぱい練習したんだ。行ってこい!」
「頑張ってね、ショウちゃん!」
「いきなり負けんじゃねーぞ、ショウ」

皆から背中を押され、ショウは1回戦目に挑んだ。

相手は見るからに怪しいおっさん。ねちっこい口調が特徴的だ。しかしこういったウザプレイヤーにも散々草の根大会で対戦してきたショウには対処法は熟知してあった。

「んーくそう、ここで土地引ければ勝ってたんだけどねー、君はトップデッキ強いねー、でもあそこのプレイはどうかなー?」
「あはは、そうですね!でも土地引けててもおれの手札最強でしたからどっちにしろ勝ってましたよ!」

ウザプレイヤーとの会話は流す。煽りプレイヤーには煽り返してあげる。現在AOY(煽りof the Year)を目指しているプレイヤーから聞いた方法だ。ウザプレイヤーにウザく絡む方法もあるがこれは諸刃の剣なので使わないことにしている。

「有難うございましたッ!」

赤単バーンを駆り1回戦目を白星で飾ったショウ。その後も2-0まで駆け抜け、ヒデとコータも出陣する。

「頑張ってるな、ショウくん。おれ達も負けられないぜ、コータ」
「ああ、ショウより先に負ける訳にはいかねーよな」
「フフ・・・コータ、GPの最終順位で勝負するか?負けたらラーメン奢りな!」

ショウの3回戦目の相手はUBフェアリー。相性は圧倒的にショウが有利。マリガンを挟みつつもフルボッコにした。

「コータ、どうだった!?ちなみにおれは勝ったZE!」
「負けたよ・・・土地詰まっちまった」
「そっか、おれが一歩リードって訳だな!ヒデさんは?」
「ああ、勝ったみたいだぜ。兄貴のヒバリデッキはよく出来てるからな」

外の喫煙所を見るとヒデは友人と談笑している様だ。しかしヒデの友人は見た目がヤクザみたいな人が居たりで絡みに行けない。そのヤクザみたいな人は初心者の頃に対戦した経験がある。

その後もショウは快進撃を続ける。6−0と後1つ勝てば『初日確定ライン』だ。ヒデも6−0でコータは5−1。ユウジは3Bye明けに2連敗するも4−2で“サブマリンのユウジ”の名は健在だ。

そしていよいよ7回戦目が始まる。テーブルの正面に座ったのはどっかで見たことのある顔だ。そうだ、先に行われたGP北九州のチャンピオンだ・・・!

「お、お願いしますッ!」
「お願いします」

相手のデッキは青白ヒバリ。ヒデさんとのスパーで何度も対戦している。しかし。

「《エイヴンの裂け目追い/Aven Riftwatcher(PLC)》をプレイ。2ライフゲインします」
「(・・・クッ、2枚目はきつい)」

GPTin千葉にて『バーンの殿堂』が赤単を全国に知らしめてしまった。その代償がこの《エイヴンの裂け目追い/Aven Riftwatcher(PLC)》。その後も《目覚ましヒバリ/Reveillark(MOR)》により墓地から目を覚ましたエイヴンたちがショウのバーンの届かないライフへと伸ばしていった。通算6−1。

ヒデは安定した実力で7−0の初日抜け確定。コータ6−1、ユウジも5−2とまだ目がある。

第8回戦。普通の大会であれば最終戦に当たるであろうが、ここはGP。当然あと『二つ』だ。

ショウの相手は赤緑ビッグマナ。当然《原初の命令/Primal Command(LRW)》が装備されているこのデッキ、気を引き締めなければならない。しかし、先ほどの敗北に心折れることもなくショウは乗っていた。

「《怒鳴りつけ/Browbeat(TSP)》ッ・・・!」

ライフ4の相手にとっては拷問だ。いつものポーズと共にカードを叩きつける。引いたカードの中には、相手を燃やし尽くすには十分な赤いカードで溢れかえっていた。

「ヒデさん!7−1だッ、抜けましたよ!」
「やるなショウくん。どうやらコータとユウジくんは負けちゃったみたいだが・・・」

紫煙をしかめっ面で吐きながら言った。そんなヒデは未だ負け知らずの8−0。喫煙所にいたショウの知らない仲間たちと軽口を叩き合っているヒデが眩しく見えた。おれも・・・ヒデさんに負けないぞ。

GP静岡初日最終戦。ショウはIDを蹴りガチった。その勢いのまま、事故の所を《原初の命令/Primal Command(LRW)》を打たれ力尽きた。初日7−2でフィニッシュ。

コータも何とか7−2で初日抜け。ユウジは最後勝てばオポ次第で抜けだったが、5−4。

「じゃあショウくん。おれは他の宿だから気を付けてな」
「はい!明日も頑張りましょう!!!」

ショウたち3人は宿にチェックインし、近くのファーストフード店へ。飯にそこまでの金は使えない。

「コータ、勝負の話忘れてないだろうな!?」
「おまえこそ。7−2で並んでの2日目だ。Dropすんじゃねーぞ」

明日はどのサイドイベントに出ようかと考えているユウジはそんな二人のやり取りを羨ましそうに眺めている。

宿に戻ると早起きに加え、9回戦戦い抜いた3人は泥の様に眠りについた。

〜つづく〜
ISBN:4063635414 コミック コージィ城倉 講談社 2005/10/17 ¥420







(注)
この話は完全なるフィクションです。

〜あらすじ〜
Finals2006川崎予選。最終ラウンド。
チームメイトでもあり友人でもあるコウタと
『勝った方が抜け』のラインでぶつかった。
《悪魔火/Demonfire(DIS)》を叩き付けたショウだったが・・・



〜第9話〜

キーンコーンカーンコーン
残飯高校に終業のベルが鳴り響いた。

「ショウちゃん!早く早くッ!!!」
「待てよ、ユウジ!まだコウタも着いてねーって!!!」

学校が終わると即ホビーショップ・ナカジマへ向かう。高校生になってもこのライフスタイルは変わらない。

「だってGP静岡は目の前だよ!今日はヒデさんだって来てくれるんだから、それまでにデッキ回しておこうよ!!!」
「・・・ったく。3Bye取ったからってノリノリだな、ユウジ!」

ユウジは先に行われたGPTで3Byeを獲得していた。ユウジはTheFinals2007本戦出場も果たし、これからが楽しみなプレイヤーに育っていた。

ナカジマに着くと早速デュエルを開始した。
ユウジはGPTの時と同様の白単キスキン。そしてショウは、

「《怒鳴りつけ/Browbeat(TSP)》ッ!!!」

カードを叩き付けると共に、自らを対象とする「グッド!」と同様の握り拳プラス親指。尊敬する神プレイヤーと同じプレイスタイル。もちろんそのデックは赤単バーン。

カランコロンカラン

ドアの鈴が鳴りコータ、そしてヒデもナカジマへ到着した。

「お、やってるね。デッキの練り込み具合はどう?」
「あ!!!ヒデさん!!!後でサイドボード見てもらえますか!?」

ショウ、コータ、ユウジの3人はヒデとの練習によりここ最近の伸びは著しい。

コータはTheFinals2006、日本選手権2007の本戦出場。前者では9位に滑り込む。

ユウジもTheFinals2007出場。

そしてショウはFNM優勝。

「・・・おれ、他のみんなとは出遅れてますからね。今回のGPは絶対勝ちますよ!」
「うん、その意気だ。それじゃサイドボードの練り込みをしようか」

・・・

帰りに4人で晩飯にラーメン屋を訪ねた。テーブルの関係で2人づつに分かれて座った。

「ずずー!ゴクゴク・・・ヒデさんのおかげでデッキもいい感じに出来ましたよ!ゴクゴク」
「ずびずばー!ゴクゴク・・・うん、赤単はこないだのGPTで『バーンの殿堂』が全国にばらしちゃったけど、そのポテンシャルはメタられててもいけると思うよ」
「ゴクゴク・・・げふぅ・・・今回は、本当のトップデックで勝ちますから」
「ゴクゴク・・・あの、《悪魔火/Demonfire(DIS)》のことか」

TheFinals2006川崎予選。

最終ラウンドで『勝った方が抜け』ラインでのコウタとの対戦。
ショウがトップデックした《悪魔火/Demonfire(DIS)》は、汗ではりついた《平地/Plains(LRW)》の下にあった幻の火力だった。

「・・・ってことは言わなかったんだね?」

ヒデとショウの二人っきりの喫煙所。ヒデの声が響き渡った。ショウは全てを悟り文字通り、血がさーっと下がっていくのが分かった。

数秒の沈黙であったであろうが、ショウにとっては何時間にも感じた。

「・・・ショウくんはそれでいいのかな?」
「・・・おれは、おれは・・・」

気付いたらショウの体は大会会場である3階へと向かっていた。
肩で息をしながら部屋へ入るや否や、ヘッドジャッジのアナウンスが聞こえてきた。

「・・・このスタンディングに異議申し立てがございましたらこちらまでどうぞ」

ショウは自らのスタンディングを確認した。8-1で2位通過。だがしかし。

「あの・・・すいませんッ!」

ヘッドジャッジに、ショウは全てを打ち明けた。

驚愕の話にヘッドジャッジはショウを別室に移動させ、逐一質問を挟みながら、事実を確認していった。

結果、ショウへのDQP。

最終スタンディング前であったため、最終戦の結果はコウタの勝利になり、異例の裁定となった。(※)

「でも・・・あの時はちゃんと申告してよかったと思います。それも、ヒデさんのおかげですけど・・・」
「そんなことないよ、ショウくん。あそこで自分の過ちを正すことはそう簡単なことじゃない。でも、ショウくんは自ら告げに行った。そうだろ?」
「・・・ありがとうございます。ゴクゴク・・・」

いつもの味噌ラーメンが、ほんの少ししょっぱかった。

今週末はGP静岡が始まる。

〜つづく〜

(※)
裁定はヘッドジャッジによっては変わるかと。そのまま覆らない、ってこともあるとは思いますが今回はジャッジの話を参考にしてみました。
ISBN:4063635414 コミック コージィ城倉 講談社 2005/06/17 ¥420





れっづ先生急病のため『デュエルファイター ショウ』は休載いたします。
ISBN:4063634884 コミック コージィ城倉 講談社 2005/02/17 ¥420







〜あらすじ〜
最後のFinals予選、川崎予選に出場したショウ。
最終戦IDで抜けられるラインだったが。



〜第8話〜

「・・・コウタ!!!111」
「悪いな、おれは勝ち縛りだ。ガチだな。」

ショウは7−1、コウタは6−1−1。ショウは不運なことに下のラインーしかも友人であるコウタと当たる羽目となった。

お互い勝てば初めてのFinals本戦出場だ。どちらかと言うまでもなく口数は減り、ゲームが始まった。

先手はコウタが取った。ショウはBDWに対しコウタはUBコントール、通称ドラルヌコンと呼ばれているデックだ。メインでの相性ではショウに分があるためにコウタにとっては喉から手が出る程欲しかった先手だ。

「キープ」「キープ!!!」

マリガンなしでゲームが開始された。

コウタはコントロールらしくセットランドしてGO。
7−1のスコアで勝ち上がってるショウはその勢い通り《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》から。コウタは若干眉をしかめるも返しのターンはDrawGo。

ショウは《ライオン》でアタック後に《聖なる後光の騎士/Knight of the Holy Nimbus(TSP)》。それには《差し戻し/Remand(RAV)》、ショウに主導権を渡すまいとする。
コウタは《ディミーアの印鑑/Dimir Signet(RAV)》でマナを伸ばしながらエンド。

ショウの第3ターン。《聖なる後光の騎士/Knight of the Holy Nimbus(TSP)》は《マナ漏出/Mana Leak》されるもライオンが静かにライフを削る。余ったマナで《裂け目の稲妻/Rift Bolt(TSP)》を待機。

コウタは5マナオープンの状態でGo。
ショウもその空気を悟るもとりあえず、と本体へ待機の解けた《稲妻》をコウタに叩き込む。これでコウタのライフは13に落ち込んだ。

もちろんショウが気付いたのは《ザルファーの魔道士、テフェリー/Teferi, Mage of Zhalfir(TSP)》だ。このまま《ライオン》が突撃しても正に犬死にだ。コウタのライフは13もある。先手後手の差が出て来ている計算だ。だがここで悩んでもしゃーない、ショウは《ライオン》を突撃させる。

ショウはじっ、とコウタの動きを見つめる。すると、コウタは《テフェリー》を叩きつけそのまま《ライオン》をブロック。
ショウは苦虫を噛み潰すように《テフェリー》に《火山の鎚/Volcanic Hammer》を振り下ろし、その後《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSP)》。クロックを維持する。

返しのコウタの動きは土地を置いて静かにエンド。手札はコウタが4枚、ショウも4枚だ。

ショウのターンに入り手札は5枚。《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSP)》をレッドゾーンに突っ込ませた後、土地をセットしつつ2枚目の《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSP)》。これが通る。勢いにまかせてこれまた2枚目の《裂け目の稲妻/Rift Bolt(TSP)》を待機させてエンド。グッと流れを引き寄せる。ショウのEoTにコウタは《神秘の指導/Mystical Teachings(TSP)》。持って来たのは1枚刺しの《暗黒破/Darkblast(RAV)》!そのまま《僧侶》を1体。自分のターンのドローステップに発掘しもう1体。ショウのクロックを壊滅させた。

お互いに大きな動きを見せた次のターン。ショウの《稲妻》がコウタのライフを抉る。残りは8だ。ここでショウは力なくお帰りランドをセットしてエンド。それを見たコウタは《神秘の指導/Mystical Teachings(TSP)》をフラッシュバックで。持ってくるカードは2枚目の《ザルファーの魔道士、テフェリー/Teferi, Mage of Zhalfir(TSP)》だ。

コウタはDrawGo。しかしショウのターンに《テフェリー》が出ることは分かっている。ショウのドローしたカードはまたも土地。まさにおじいちゃんだ。悔しそうにエンドするとコウタは《ザルファーの魔道士、テフェリー/Teferi, Mage of Zhalfir(TSP)》を叩きつける。

そのまま2枚目の《神秘の指導/Mystical Teachings(TSP)》→《死者の王、ドラルヌ/Dralnu, Lich Lord(TSP)》。そしてダメ押しの《骸骨の吸血鬼/Skeletal Vampire(GPT)》がショウを蹂躙した。

ショウ0−1コウタ

game2が始まる。この辺りからFinals本戦のチケットへの1戦を見ようとギャラリーが集まっていた。応援に来ていたヒデ、そして予定調和に最終戦もレイプされたユウジも見守っていた。

いわゆる「負け先」でショウが先手だ。手札を見るなりマリガン。マリガン後の6枚を見ると満足そうにキープ。コウタはそのまま7枚の手札をキープした。

ショウはgame1での敗北に打ち克つように《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》スタート。コウタは顔には出さないが半キレだろう。コウタは《地底の大河/Underground River》をセットしてエンド。

ショウの第2ターン。《暗黒破/Darkblast(RAV)》が無いことを祈りながら《ライオン》をレッドゾーンに送り込む。コウタはスルーし、まずはショウがリードの形だ。そのまま手札を見て小考する。《聖なる後光の騎士/Knight of the Holy Nimbus(TSP)》がある、が。

ショウは《呪文嵌め/Spell Snare(DIS)》を警戒して《アイケイシアの投槍兵/Icatian Javelineers(TSP)》、《裂け目の稲妻/Rift Bolt(TSP)》を待機を選択。

返しのターンのコウタはいつも通りDrawGo。ショウにターンが戻り《稲妻》を本体、2体のクリーチャーでアタック。このターンで一気にコウタのライフは12にまで落ち込むこととなった。ショウはエンド。コウタはEoTに《熟慮/Think Twice(TSP)》を打つが、ショウは待ってましたと言わんばかりに《黒焦げ/Char(RAV)》を本体へ。ここでコウタは《地底の大河/Underground River》から青マナを出したためにライフは7となった。

コウタのハンドにはリアクションスペルと土地しか集まらない。その後の火力は捌くものの、ショウのクロックが止まることはなかった。

ショウ1−1コウタ

残り時間は20分。どうやら時間切れになることはなさそうだ。二人とも入念にシャッフル。ショウはしきりに手の汗を拭きながらのシャッフルだ。そして最後のgame3が始まった。

先手はコウタ。共に1マリガンから開始。

コウタは《湿った墓/Watery Grave(RAV)》を寝かせてセット。
ショウは《聖なる鋳造所/Sacred Foundry(RAV)》をアンタップイン。コウタは眉をしかめるも今回は《アイケイシアの投槍兵/Icatian Javelineers(TSP)》から。

コウタはほっ、としながらDrawGo。
ショウは《投槍兵》で殴りつつ《聖なる後光の騎士/Knight of the Holy Nimbus(TSP)》。これには《呪文嵌め/Spell Snare(DIS)》が刺さる。

コウタは土地を置くだけに留まり、ショウにターンが返る。《投槍兵》でアタックしつつ《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSP)》。これが通り《裂け目の稲妻/Rift Bolt(TSP)》を待機。この時点でショウの手札は2枚だ。そのターンエンドにコウタは《熟慮/Think Twice(TSP)》を。

コウタは《ディミーアの印鑑/Dimir Signet(RAV)》を置きながらエンド。ショウの待機明けの《裂け目の稲妻/Rift Bolt(TSP)》は解決され2体でアタック。

ここでコウタは長考する。

悩んだ結果2枚目の《熟慮/Think Twice(TSP)》。そのまま《暗黒破/Darkblast(RAV)》を叩きつける。対象はもちろん《僧侶》だ。《投槍兵》のダメージのみが通りコウタのライフは15。返しのターンで《投槍兵》が殺されることを考えるとここでクロックを用意しておきたいショウだが、《黒焦げ/Char(RAV)》を打つのみに終わる。残りは11だ。

コウタはもちろん発掘し《暗黒破/Darkblast(RAV)》を残った1/1クリーチャーに。土地を置いてGo。

ショウの手札は土地のみ。祈りながらドローすると《火山の鎚/Volcanic Hammer》。とりあえずキャストしてみるとスタックでコウタは《熟慮/Think Twice(TSP)》のフラッシュバック。後に通し、ライフは8となる。

コウタは土地を置いてエンド。ハンドは3枚だ。墓地にもう1枚《熟慮/Think Twice(TSP)》があることを考えると4枚。

対するショウのドローは《ボロスの駐屯地/Boros Garrison(RAV)》。渋々セットしてエンド。コウタはEoTに《神秘の指導/Mystical Teachings(TSP)》を。持ってくるのはもちろん《ザルファーの魔道士、テフェリー/Teferi, Mage of Zhalfir(TSP)》だ。

コウタはドローをするなりエンド。ショウを睨み付ける。

ショウの手は汗まみれになっていた。この1戦がどれだけ大事なのか、また多くのギャラリーに囲まれていることもその要因だった。手をシャツで拭くと力を込めてドロー。

値千金の《ワイルドファイアの密使/Wildfire Emissary(TSP)》だったが、もちろんそれには《取り消し/Cancel(TSP)》。だがおかげでこのターンコウタは《テフェリー》を出すマナが無くなった。

コウタは土地を置きながらエンド。ショウのドローは汗でくっ付いていてぺりっと剥がしてから。それは《稲妻のらせん/Lightning Helix(RAV)》。そのままエンドすると当然コウタは《ザルファーの魔道士、テフェリー/Teferi, Mage of Zhalfir(TSP)》!

スタックでとりあえず、と《稲妻のらせん/Lightning Helix(RAV)》をコウタへ。カウンターを《マナ漏出/Mana Leak》しか持ってないコウタは渋々通す。残りは5。ゲームの行方はまだまだ分からない。

コウタのターンに返るなり《テフェリー》をレッドゾーンへ。ここで初めてショウのライフがコウタによって削られる。これまで自分で受けたダメージなどによりショウのライフは11に。コウタは土地を置いてエンド。

ショウのドローステップ。力強く引き込むも土地。セットし、残った手札は1枚のランド。自分のライブラリーを睨み付けエンドした。

コウタはそのエンドを聞くなり《神秘の指導/Mystical Teachings(TSP)》をフラッシュバック。《骸骨の吸血鬼/Skeletal Vampire(GPT)》をサーチしゲームを支配し始めた。

自分のターンに戻り《テフェリー》でアタック。静かに、そして力強くターンエンドを告げる。次のターンでお前の負けだぞ。そう言っているようにショウは思った。

ショウの実質最後のターン。アンタップ、アップキープ。自分の手札を見つめる。《戦場の鍛冶場/Battlefield Forge》だ。
ターンを返したら負ける。しかし、この絶体絶命の状態でも勝てるカードが1枚ライブラリーに残っている。

「んーやっぱりコントロールに土地引き過ぎると負けちゃうな・・・」
「だったらこれを入れてみたらどうだい?1枚とか2枚なら入れてる人もいるし、BDWに入れても邪魔にならないと思うよ。」
「確かに!!!トロン専用って訳じゃないですもね!!!111」

大会前の調整でヒデに助言をもらい、そのカードを持ってなかったショウはユウジにシャークしてそれを手に入れた。

「(・・・《悪魔火/Demonfire(DIS)》しかだめだな。だが、引ければ勝ちだ!!!111)」

ショウは深呼吸すると、一気にライブラリーのトップを叩きつけた。

《悪魔火/Demonfire(DIS)》

ショウ2−1コウタ

一斉に拍手が起こった。コウタは呆然と、そのカードを見つめていた。ややあって、コウタは笑いながらショウに手を差し出した。

「いいトップデックだ。本戦頑張れよ。」
「おう!!!いいゲームだったな、コウタ!!!111」

ショウは満面の笑みを浮かべた。

「つかお前、汗かきすぎだから。」

コウタは自分の手のひらを見つめながら言った。

「ああ、ごめんごめん!!!緊張しちゃってさ!!!」

エントリースリップに結果、サインを記した後にデッキを片付け始めた。ショウが自分を勝利に導いてくれた《悪魔火/Demonfire(DIS)》を大事そうにライブラリーに戻そうとした。その時。

「(・・・ん、何か変だな。)」

《悪魔火/Demonfire(DIS)》はショウの汗でもう1枚のカードとくっ付いていた。ぴったりとくっ付いていて、ぱっと見では1枚のカードにしか見えない。手に取ってみないと分からない程だ。

「(・・・どうしよう。)」

数秒の内に、ショウの頭の中で色々なことがフラッシュバックした。みんなで調整したこと、初めて草の根大会で入賞したこと、そして、今日の大会が楽しみでーまた怖くて眠れなかった昨日の夜のこと。

ショウは静かに2枚のカードをライブラリーに戻した。

「(・・・これでいいんだ。ゲームは終わった。おれは勝ったんだ。)」

デッキケースに戻し、鞄にしまうと思い出した。ヒデに勝利を報告しなくては。実際にゲームを見ていたはずだが、辺りを見渡すとアホ面したユウジしかいない。

「なぁ、ユウジ。ヒデさんは?」
「あれ、いないね〜煙草吸い行ったんじゃない!?」
「あ、そっか!!!」

ショウは喫煙所へ走った。そこにはヒデが一人で煙草を吸っていた。

「ヒデさん!!!おれ、Finals出れますよ!!!エクテンの練習しましょう!!!111」

嬉々と話しかけてきたショウを見ると、ヒデは悲しそうな目で見た。

「・・・ってことは言わなかったんだね?」

ショウの顔が蒼白となった。

〜つづく〜
ISBN:4063634655 コミック コージィ城倉 講談社 ¥410







〜あらすじ〜
何んとなくFBの月例大会に向かったショウ達であった。


〜第7話〜

・・・

「さすがヒデさんだよ。あっさりFinals予選突破しちゃうんだもんな!!!」

話は先に行われたFinals2006の予選にて、ヒデが予選突破したことで持ちきりだ。

「まあ何とか調整の甲斐あったね。ショウくんもあと1回予選が残ってるんだ、頑張りなよ。」
「でも、やっぱりまだまだですよ・・・あの時だってヒデさんには勝てなかったし。」

ショウが言っているのはFB月例大会の話だ。最終戦でヒデに惜敗し、最終成績は3位だった。

「あの時はいいゲームだったじゃないか。ショウくんは今が伸びる時期なんだからきっと大丈夫さ。そんなことより明後日の調整はしなくていいの?」
「あ!そうだった!!!今度はサイドボード入りでいいですか!?!?!?!?!」

ヒデに負けた月例大会から、ショウはみるみる内に実力を伸ばして行った。草の根大会では度々上位入賞を繰り返し、それに伴ってコウタも切磋琢磨の末にショウのライバルと言った感じだ。ユウジは早々に0−2するので『サブマリンのユウジ』と周りからは恐れられていた。

「うん、足りてるね。投了だよ。」
「よし!!!サイドボード後の勝率も悪くない!!!」

神河ブロックが落ちた後はショウはBDW、ボロスデックウィンを使うことにした。ヒデはURトロンで東京予選を突破している。

「この調子で川崎予選も抜けるぞッ・・・!!!」

・・・

そして当日。
ショウ、コウタ、ユウジは川崎予選の会場にいた。

「今日はみんなで抜けような!!!コウタもヒデさんと同じデッキだよな!?」
「ああ、やっぱり長丁場の予選だし安定したこのデッキは心強いよ。それより始まるまでにちょっとデッキ回そうぜ。」

自分のデッキを訪ねてもらえない『サブマリンのユウジ』を横目に二人は最後の調整を行った。

いよいよ、時間だ。

「今日は勝てる気がする・・・9回戦は長いけど頑張るぞ!!!」

5回戦終了時にショウは5−0、コウタは4−0−1、ユウジは2−3というスコアになった。長丁場の半分が過ぎ、6回戦が始まった。

「(・・・よーし、あと2回勝てば予選抜けだ!!!次の相手は・・・)」
「(何だこの人は!!!何かかっこいいぞ!!!)」
「お願いしまーす。」

対戦相手はなんだかもこもこした服を着ているイケメンだった。どうやら彼は4−0−1ライン。下とマッチアップしたらしい。

先手はショウ。土地が山1しかないのでマリガン。6枚となったハンドをキープした。対戦相手はマリガンなし。

「ギルランをアンタップインします。《サバンナ・ライオン/Savannah Lions(8ED)》だしてエンド!!!111」

素晴らしいスタートに!!!が多くなったショウ。対戦相手は静かに白黒ランドをタップインから。

ショウはきっちり2ターン目もWWを揃えてライオンでアタックから《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSP)》。

その返しに相手は《アゾリウスの印鑑/Azorius Signet(DIS)》を置いてGO。

「(・・・これはきっと太陽拳だな!!!)」

ショウは2体アタックから《黒焦げ/Char(RAV)》を構えてGO。

予定調和に返しのターンは《神の怒り/Wrath of God(7E)》。ダメランとショウの《黒焦げ/Char(RAV)》によってライフは9まで落ち込んだ。

「アンタップ、アップキープ、ドロー!!!ヒヨケ虫でアタック!!!111」

その後、《稲妻のらせん/Lightning Helix(RAV)》2発打ち込んでショウが初戦を取った。

ショウ 1−0 対戦相手

「(・・・よしッよしッよしッ!!!ディモールトいい!!!)」

いつの間にイタリア語を覚えたのかショウはあまりのブンブンっぷりに興奮した。

game2は対戦相手が先手だ。

ショウはまたも《サバンナ・ライオン/Savannah Lions(8ED)》スタート。だが後続の《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSP)》もろとも3ターン目の《神の怒り/Wrath of God(7E)》で一掃される。

その後《信仰の足枷/Faith’s Fetters(RAV)》で時間を稼がれて
《怒りの天使アクローマ/Akroma, Angel of Wrath(LGN)》にしばかれた。

ショウ 1−1 対戦相手

「(クッ・・・!!!だが今度はこっちが先手だ!!!)」

game3はショウの1マリガンで3度《サバンナ・ライオン/Savannah Lions(8ED)》スタートに相手もげんなりの様子。

しかし相手も3度《アゾリウスの印鑑/Azorius Signet(DIS)》経由から《神の怒り/Wrath of God(7E)》。

「(・・・やるな!!!しかしッ!!!)」

返しのショウは《サバンナ・ライオン/Savannah Lions(8ED)》《聖なる後光の騎士/Knight of the Holy Nimbus(TSP)》と並べ返す。

しかし《暗黒破/Darkblast(RAV)》《信仰の足枷/Faith’s Fetters(RAV)》で綺麗に捌かれ《強迫的な研究/Compulsive Research(RAV)》から《絶望の天使/Angel of Despair(GPT)》!!!

「(・・・まだだ!!!相手のライフは4まで削ったんだ・・・)」
「(・・・引けッ!!!)」

《平地/Plains》

ショウ 1−2 対戦相手

「お!アクア勝ったんだーヤニ行くべ!!!」
「おう!」
「(・・・アクア?水じゃん!!!)」

対戦相手が水だったことに気付いたショウはとうとう1敗を喫した。

「ショウ、どうだった?」

何とか1分ラインで留まっているコウタも勝ったようだ。

「負けちゃったよ・・・でもまだ1敗だ、お互い頑張ろうな!!!」
「その意気だよ、ショウくん。」
「あ・・・ヒデさん!!!来てくれたんですか!!!」
「コウタから聞いてね。みんな頑張ってるみたいだし応援に来たよ。」
「よーし・・・あと2回勝てばいいんだ!!!頑張ります!!!」

5−1で迎えた7回戦目。相手のデッキはURトロン。2−1の末辛勝する。コウタは1敗してしまい5−1−1。後がなくなった。ユウジは2−5でいぶし銀の活躍だ。

そして8回戦。

「(えーと、次の相手は・・・と。)」

・・・

「(来ない・・・)」

・・・

「(あ!来た・・・)」

相手のゲームロスが噛みあってショウは7−1。
コウタも辛勝し6−1−1。

「何にしろ勝ちは勝ちだよ、ショウくん。IDできたら抜けだね。」

「ですね!!!今日はついてますよ!!!111」
「コウタも次勝てばOP%高いし抜けそうじゃん!!!頑張れよ!!!111」

テンションの上がりっぱなしのショウはまくし立てた。
ユウジはどうやら3−5でパワーが1上がった様だ。

そして最終戦。

「(・・・えーと次の席はここだな。IDID!!!111)」

・・・

対戦相手が席に着いた。

「・・・コウタ!!!」
「悪いな、ショウ。ガチだ。」

〜つづく〜
ISBN:4063634418 コミック コージィ城倉 講談社 2004/10/15 ¥410







〜第5話〜

あらすじ
コータの兄との出会いで真剣にMTGに打ち込むことを決心する。


・・・


あの日からコータの兄、ヒデが時間の許す限りはヒデと一緒に練習することに専念していた。それ以外の日はいつも通りコータ、ユウジらと練習していた。

「よしっ!!!ゴブリンたちでアタック!!」
「《罰する者、ゾーズー/Zo-Zu the Punisher》に《最後の喘ぎ/Last Gasp(RAV)》」
「甘いぜ、コータ!!スタックで《悪忌の守護神/Patron of the Akki》を献身でプレイだ!!!」
「クッ・・・通しだ。」

ショウはヒデに教えてもらったゴブリン使い猥士郎のレシピを基にデッキを強化していた。その甲斐あってか勝率も跳ね上がった。

「うん。ショウくんも腕が上がってきたね。」

横で見ていたヒデが言った。

「へへっ!!だってヒデさんと練習してるんだ・・・」

ちょっと照れながらショウは答えた。

「でも、やっぱり《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》は高くて集められないですよ。もっとお小遣いあったらな・・・」
「うん、確かに《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》はそのデッキには欲しいよね。でも大会で勝ったら賞品も出るしそれでカード資産増やしていったらいいさ。」
「はい!今度の日曜久々に大会出てみようと思うんです!優勝しますよ!!!」
「あ、今度のFBの月例大会か。じゃあ頑張らないとね。おれも負けないようにしなきゃな、はは。」
「今度は負けませんよー!!!」

「なあユウジ。おれ達も大会出てみようぜ。腕試ししてみたいしな。」
「そうだね!!コータくんも行くならボクも行ってみよ!!!」

こうして金魚の糞も大会参加を決め、残中3人組は大会へと向かった。

〜続く〜
ISBN:4063634183 コミック コージィ城倉 講談社 2004/08/17 ¥410







〜第4話〜

あらすじ

意気揚々と始めての大会へ乗り込んだショウ。しかし完膚なきまでにレイプされる。正に井の中のブラックタイガー、いや蛙のようだった。そして失意のうちに学校へ行くことになる。

※上記の文と井の中のブラックタイガーさんとは一切関係ありません。




・・・

初の大会で惨敗を喫したショウはとぼとぼと学校へ向かった。
お腹が痛い。きっとコータとユウジから聞かれたくないことを聞かれるからだ。教室へ入るとすぐに金魚の糞がショウに憑依してきた。

「ショウちゃんショウちゃん!昨日はどうだったの!?優勝したッ!?」

まくし立てるようなユウジの質問に少し苛立ちを感じながらショウは答えた。

「ん?・・・ああ、昨日は1回戦目の最中に体調崩しちゃってね。大会Dropして帰って来たんだ。」

ショウはシャミった。

「え!?そうだったの!?ショウちゃん災難だったね・・・」

するとコータもいつの間にか近くに来ていた。

「そっか、残念だったな。」

いつも通り淡々と話すコータの発言にショウは、

「・・・そうなんだよー!!まいっちゃったぜ!!朝に気合入れて牛乳飲み過ぎたかもッ!!ニョホホホ・・・」

華麗にシャミる中多少の罪悪感も感じていた。だがきっと大会に来ていない2人にはシャミれるとショウは確信していた。いいさ、今度こそは優勝してやる。

「はは、牛乳飲み杉か。ショウらしいな・・・そろそろ朝の学活始まるしまた昼休みいつもの所でな。」
「ああ!!そろそろ金ぱっつぁんも来るだろうし・・・あ、来たきた。」

ガラガラガラ

「はいっはいっみなさんおはようございますッ!!!ほらーそこ席付けーッ!!!・・・」

肩まで髪を伸ばした暑苦しそうな男性教師が教室に入って来るといつもの学校生活が始まった。

・・・

昼休み。

ショウは気合が入っていた。おれはプロ達がひしめく大会で洗礼を受けて来たんだ。大会にも出たことのないこいつらなんてボッコボコにしてやるッ!

ただのうぬぼれである。さすが井の中の蛙。

「よっし!!今日もやるかッ!!」

ショウは自慢の赤単を取り出しコータとデュエルを開始した。

「行っけぇぇぇぇ!!!《ゴブリンの王/Goblin King》ッ!!!」
「《マナ漏出/Mana Leak》」
「行っけぇぇぇぇ!!!《ゴブリンの王/Goblin King》ッ!!!」
「《最後の喘ぎ/Last Gasp(RAV)》」
「行っけぇぇぇぇ!!!《ゴブリンの王/Goblin King》ッ!!!」
「《邪魔/Hinder》」
「う・・・」

4枚目の《ゴブリンの王/Goblin King》は昨夜ショウの寝返りにより折れてしまったのでデッキには入っていなかった。その後コータは《呪師の弟子/Jushi Apprentice》からドローを加速し《初めて苦しんだもの、影麻呂/Kagemaro, First to Suffer(SOK)》でショウを蹂躙した。

「コータくんの勝ちかー!!!最近コータくん調子いいよね!!」
「ん?・・・まあ練習してるからね。」

ショウの金魚の糞がコータに憑依し出すのを見てちょっと嫉妬した。

「まあ、こんな時もあるな・・・おれ《ゴブリンの王/Goblin King》3枚しかデッキ入ってないしッ!!!」

だからどうしたのか。

「あ!そういえばコータくん練習ってどこでしてるの!?家で一人で??」
「ああ、ちょっと兄ちゃんもMTGやっててね・・・一緒に練習してるんだ。」
「あ!コータくんお兄ちゃんいたもんね!!!お兄ちゃん強いの!?」
「んーけっこう強いと思うよ。今日うち来るか?」
「うん!!!イクイクッ!!!!ショウちゃんもイクよねッ!?」

ユウジの勘違いされかれないセリフに戸惑いながらもショウはコータの家に行って見ることに決めた。コータの兄ちゃんからあわよくば余った赤いカードをハイエナしようと企んでいた。

・・・

放課後。
3人はコータの家へと向かった。

「今日は兄ちゃん大学休みって言ってたから家に居ると思うよ。」

そう言って玄関を開けコータは兄を呼び行った。

「ショウちゃんショウちゃん!コータくんのお兄ちゃんってどんな人なんだろうね!!!MTG強いのかな!!!」
「どうだろうなー!大学生だろッ!!きっと強いだろ・・・」

最後におれの次くらいになッ!!!と付け加えようとしたがコータの兄を見るとその言葉を失った。

「あれ、キミは・・・」
「え、ヒデ兄知ってるの?」

もちろんショウも知っていた。いや、知らないはずがない。ショウの初大会の初戦の相手、ヒデ。コータの兄だったのだ。

「あ、いや、そのdtfgyふじこpl・・・・」

ショウがキョドっている間にヒデは言った、

「うん、昨日の大会で1回戦目に当たったんだよ。ね?」

ふいに質問されたショウはピヨピヨしていた。

「あ!!!ショウちゃんがお腹痛くなっちゃったって時だね!!その後Dropしなくちゃだったんだよね!!!」

余計なことまで言わなくていいんだよ、このゴミがッ!!!とショウは心の中で叫んだ。

「え・・・お腹痛くなってDropした?」

そう言うとヒデはショウを見据えた。

「え、あ、その・・・き、昨日は・・・」
「あーそうだったよね!体調悪そうだったもんね。もうだいじょうぶ?」

ヒデはショウの言葉を遮るかのように言った。

「え、あ、はい!もうだいじょうぶです!」

ほっ、としたようにショウは!を付けた会話をした。

「まあこんなところで立ち話も何だから部屋行ってデュエルしようよ。」

そう言って3人をヒデの部屋に通した。

「じゃあショウくんはおれとやるか。な?」
「は、はい!!!」

ヒデ対ショウ、コータ対ユウジでゲームは始まった。もちろんショウではヒデには全く歯が立たなかった。

「う・・・また負けた・・・」
「あはは、ショウくんはまだ始めたばっかりでしょ?おれは何年もやってるんだからそれで負けたらおれが凹むよ。」
「え、けっこうキャリア長いんですか!?」
「そうだね・・・もう彼此5年以上はやってるかな?もうショウくんたちの年ん時にはやってたし。」
「そんなにですか!強いもんな・・・あ!そういえば・・・」

さっきはどうしてかばってくれたんですか?
そう聞こうとしたショウだったが、

「あはは、いいって。仲間にかっこ悪いところ見せたくないだろ?これからもっと強くなればいいさ。」

ヒデは全てを察していた。その上でコータとユウジの前で一芝居うった訳である。

「・・・ありがとうございます・・・」

泣きそうになった。

ヒデのやさしさに。

そして自分のおろかさに。

あんな見栄張ったって何の意味があるんだ。

強くなってやる。

そのためには・・・・

「・・・ヒデさん。」
「ん?なんだい?」
「おれを弟子にしてください。絶対、強くなりたいんです。お願いします!!」
「あはは、弟子か。おれ何かでよかったら何でも教えてあげるよ。」
「ホントですか!?ありがとうございます!!!」
「うん、やる気あるやつは好きだよ。じゃあショウくんのデッキ強化しようか。赤単ゴブリンだよね。おれの知り合いが使ってる人いるから。けっこう強いんだよ。」

こうしてショウのデッキはトーナメント志向に向かって行く。ただ、ショウが気になっていたのは、ヒデの知り合いという猥士郎という男のことだった。

〜続く〜
ISBN:4063633810 コミック コージィ城倉 講談社 2004/05/17 ¥410







※作者れっづ先生が毎日オナニーばかりしていたために休載していた『デュエルファイターショウ』がいよいよ復活!読者の皆様にはこの場を借りて編集部一同お詫びを申し上げます。

あらすじ

残飯中学NO.1を自負しているショウ。調子に乗って大会に出ることを決意する。

登場人物

・赤井ショウ
この物語の主人公。《ゴブリンの王/Goblin King(9ED)》に運命を感じ赤デッキを使うことを決心する。

・蒼蔵コウタ
ショウの親友。ショウに誘われMTGを始める。学力は学年でTop3の常連。

・馬鹿ユウジ
ショウの金魚の糞。ショウとコウタがMTGを始めたのを聞いてユウジも始めようと決める。だって金魚の糞だし。





〜第三話〜

ー日曜日ー

ショウはこの日を待ちわびていた。残飯中学のNo.1であるショウは大会に出ても華麗に優勝すると思い込んでいた。ただ唯一の問題は、NO.1だと思い込んでいるのはショウとその金魚の糞だけだったことだ。

・・・

「ここが大会会場のフューチャービーかぁ!初めて来たけど何だかワクワクすっぞ!!」

カランコロンカラン

ドアを開けるとベルが鳴り一目でカードゲーム屋というのが分かった。一面カードだらけだからだ。

「いらっしゃいませーーーーー!!!」

妙に張り切った店員さんがショウを出迎えた。店の中は大会日だからか人でごった返していた。

「あの、今日のMTGの大会に出たいんですけどッ!!!」
「はい、ありがとうございます!!ここに名前書いてくださいッ!!」

!マークの多い会話を交わしながらショウは参加費を払いエントリーに成功した。

「それじゃあと30分くらいで始まるからこの紙にデッキ書いてね!それとこのDCIメンバーシップってやつに登録しないと公認大会出れないから記入してね!!」

筆記用具を忘れたショウは店員さんからペンを借り、それらに記入した。あとは時間が過ぎるのを待つだけである。

「(うーん、さすがMTGの大会だな!色んな人がいるや!!)」
「(・・・まあこの中で一番になるのはボクだけどね、クククッ!!)」

ー30分後ー

「それではフューチャービー黒崎店、月例大会を始めますッ!!」

先ほどの店員が高らかに大会の開会を宣言した。

「それでは名前を呼び上げて行きますので名前を呼ばれた方からテーブルについてくださいッ!!!」

次々と名前が呼ばれて行った。ショウは初めてAVを見た時のように興奮していた。

「えー次のテーブルは赤井ショウさんと・・・」
「(・・・キタコレ!!!)」

対戦相手の名前なんて聞かずに一目散に席へ着いた。

続いて対戦相手が席に着いた。どうやら見た感じ大学生のようだ。

「よろしくお願いします。」

対戦相手はショウを見据えて言った。さわやかな感じの大人って感じだ。

「よ、よろしくお願いします!!」

ショウは噛みそうになりながら返した。大会前の元気よさはどこへやら、すっごいチキンになっていた。ショウは戦う前にいつもの儀式を行っていた。

「(・・・へへ!こうすれば土地と呪文がバランスよく来るんだよな!!)」

下唇を舐めながらライブラリーを並べて行った。すると、

「あ・・・それやると反則だよ、君。」

対戦相手はヒンズーシャッフルをしながら言った。

「・・・ほえ??」

きっとこの時のショウの顔はバカ面だったに違いない。ショウは対戦相手に説明を受け正しいシャッフルのやりかたを教えてもらった。

「(へ、へへん!ホントは知ってたけど面倒だからやらなかっただけさ!!あれをやらなくたって勝てるやい!!!)」

そんな訳ないが心の中で強がった。そして、

「えーそれでは第1回戦を開始します!制限時間は50分ですッ!!」

「「「よろしくお願いします!」」」

あちこちで対戦前の挨拶が聞こえる。ショウはいよいよ大会が始まったんだな、と実感した。

「えっと、先手後手はダイスでいいですか?」
「え、あ、はい、いいですよ!!」

ダイスロールの結果ショウは先手を取りマリガンチェックに入った。

「(・・・うん、1ターン目から《ゴブリン気球部隊/Goblin Balloon Brigade》が出せるな、しかも2ターン目には《ゴブリンの長槍使い/Goblin Piker》か!かっこいい、おれ!!」

実はかっこ悪いがこの自己陶酔しているショウはこの時点で勝ちを確信した。いつの間にかチキンからいつものポジディブなショウに戻っていた。

「マリガンなしです!!!」
「こちらもマリガンなしです。」

対戦相手もマリガンなし。ゲームが始まった。

「《山/Mountain》を置いて《ゴブリン気球部隊/Goblin Balloon Brigade》!!エンドですッ!!」

どうだ、おれのゴブリンはッ!と言わんばかりの表情で1ターン目を終了した。

「ドロー、セット《寺院の庭/Temple Garden(RAV)》。GO。」
「(あー!!!あれはラブニカの2色ランドだ!でもあれ2色出るだけで無駄に高いんだよな・・・きっとただの金持ちだな。)」

ショウは1ターン目の土地から相手が金持ちということを思い込んだ。

「おれのターン!ゴブリンで攻撃してから《ゴブリンの長槍使い/Goblin Piker》!!エンドですッ!!」

対戦相手はちょっといい顔をしながらターンに入った。《遥か見/Farseek(RAV)》でマナを伸ばしながらターンエンド。

ショウは返しのターンに《ゴブリンの王/Goblin King》を置いてアタック。対戦相手のライフは14に落ち込んだ。

「(ククク・・・さすがおれ!もう勝ちだな!!)」
「アンタップ、アップキープ、ドロー。セット《低木林地/Brushland》。4マナで《神の怒り/Wrath of God》》。」
「(ガーーーーーーーン!!あれは《神の怒り/Wrath of God》!!!自分のクリーチャー死んじゃうから弱いと思ってユウジにトレードしちゃったよ!!!)」

ショウは意気消沈しながらゴブリンたちを墓地に置いた。

「・・・GO。」
「(へ、へへん!まだおれの手札にはゴブリンはいるぜ!!)」

ショウは《ゴブリンの山岳民/Goblin Mountaineer》と《ゴブリンの王/Goblin King》を出してエンド。

対戦相手の返しのターン、土地を置いて《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》を出して3マナ立ててエンド。

「(なんだ、5マナあると思ったら1/1出すだけか!プギャー!)」

ショウはゴブリン2体でアタック。対戦相手は《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》で《ゴブリンの山岳民/Goblin Mountaineer》をブロックしながら《ゴブリンの王/Goblin King》に《化膿/Putrefy(RAV)》を打ち込んだ。

「ダメージスタック後に《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》をサクって《沼/Swamp》持ってきます。」

淡々とショウの攻撃を受け流していく対戦相手にショウは急に弱気になった。自分の手が震え始めていることに気付いたが、もう遅かった。ショウがそのターン展開できたのは《ゴブリンの空襲部隊/Goblin Sky Raider》のみ。

対戦相手のターンになり6マナを捻り出し《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》を召喚。ショウの顔が青ざめる。苗字が赤井なのにもかかわらず。

「(・・・5/5飛行!強すぎる・・・)」

ショウは闇雲に《炎のブレス/Firebreathing》をゴブリンに付け万歳アタック。冷静にスルーされフルパンプ。対戦相手のライフは10となる。

しかし、ショウのターンは死ぬまで二度と返ってこなかった。

「アタック後に《よりよい品物/Greater Good》。《陽星》サクって・・・ry」

ショウは呆然とした。残飯中では見たこともないようなデッキに負けたからだ。震える手を必死に押さえながらサイドボードをするが、結果は・・・

「《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》でアタック。もう1体《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》をプレイ。10点ドレインです。」

「う゛・・・・・・」

ショウは惨敗した。正にレイプだった。

「くそぅ、もう大会終わりか・・・」
「あ、大会はスイスドローって言ってね、負けても終わりじゃないんだよ。」
「え!そうなんですかッ!!この後全部勝ったら優勝できますか!?」
「えっ?・・・うーん、可能性はあるよ。全部勝ったらね。」
「そっか!よーし、頑張るぞ!!!」

ショウは燃えた。まだ優勝の可能性があることがショウのスーパーポジティブシンキングに火を付けたのだ。

「あ、ヒデ勝った?見てたよ・・・w」

対戦相手の友達であろうか、これまた大学生風な男がテーブルに近づいてきて対戦相手、ヒデは立ち去って行った。なぜ語尾にwが付いているのかこの時ショウは全く気にしなかった。

そして2回戦。

「(・・・今度の人も大学生かな?何だかいい人そうだぞ!でも優勝目指してるんだ、蹴散らしてやるッ!!!)」

・・・

「《潮の星、京河/Keiga, the Tide Star》でアタック。えー《ウルザの塔/Urza’s Tower》《ウルザの魔力炉/Urza’s Power Plant》《ウルザry〜をタップして《猛火/Blaze》13点をあなたに。」

ショウは燃えた。真紅の業火に焼かれながら恍惚に浸っていた。

「(・・・やっぱり赤強いな・・・)」

「カモ勝った??」

対戦相手は友人らしき人物に話しかけられ去って行った。

「(うん、きっとあの人もプロなんだ!チャガモとかオタガモって言われてたしッ!!まあ、プロに負けたんだったら仕方ないな!)」

ポジティブに言い訳をしながら次の対戦に備えた。

3回戦。

「(・・・ひ、ひじきー!!!絶対この人やばいよ!恐いよ!!)」
「チッ、またマリガンかよォォォォォォォ!」
「(そんなにマリガンしたんですかァァァ!!でも怒らないでくださいよォォォォォ!!)」
「えっと、じゃあボク先手で・・・《山/Mountain》から《ゴブリン気球部隊/Goblin Balloon Brigade》。エンドです・・・」

「・・・あ゛・・・?」
「(ひーなんで怒ってるのよ!!!ただのゴブリンじゃないですかァァァァァ!!!)」
「えっと、攻撃した後に《山/Mountain》置いて《ゴブリンの長槍使い/Goblin Piker》・・・」

「(・・・ピクッ・・・)」
「(あーわわわわ、やっぱり怒ってらっしゃる・・!!)」

対戦相手は《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda》《番狼/Watchwolf(RAV)》と展開、そのまま火力でショウを押し切った。もちろん、game2も。

「チッ、ヤニが足らねぇよォォォ!」

どうやら対戦相手はニコチン中毒らしく友人たちと煙草を吸いに行った。

「(うう・・・恐かったけどトンプロとかテンプロとか呼ばれてたしきっとプロなんだ。プロじゃしょうがないか・・・)」

こうして0−3になったショウは意気消沈のまま大会をドロップし、帰宅した。

「・・・うう、ごめんよ《ゴブリンの王/Goblin King》!!もっとおれ、強くなるから!!!」

その日ショウは《ゴブリンの王/Goblin King》と一緒に寝た。起きたら折れていた。

〜続く〜
ISBN:4063633527 コミック コージィ城倉 講談社 2004/03/17 ¥410

今日のMO。

構築
1−1
1−1
3−0

あんまり勝ちきれなかった。





〜第2話〜

あらすじ

近所のショップ、ナカジマにて運命的な出会いを果たしたショウ。同じクラスのコータ、ユウジをもその運命に引っ張り込んだ。その運命とはMagic the Gathering。

彼らが初めてカードを購入してから1ヶ月。あれから発情期の猿のオナニーの如くデュエルに勤しんでいた。自分たちの小遣いを全てそれに費やし、大好きだったテレビゲームも売り払いカードを集めることに必死であった。

ー残飯中学3年B組・昼休みー


・・・・

「おい!コータ、ユウジ!今日も音楽室忍びこもうぜ!!」

もちろん学校ではカードカード等を持ってくることは禁じられている。そこで彼らは昼休みに使われていない音楽室に忍びこんでデュエルを楽しんでいた。

「へへっ・・・今日もおれが一番だな!」

ショウは本日のデュエルの結果に満足していた。もちろん彼らのカード資産は少ないために赤単を使っていたショウのデッキは一番安定して回っていたし、他の二人に対して相性がよかった。

「さすがだよ、ショウちゃん・・・ショウちゃんが残飯中学のチャンピオンだね!!」

「へへ・・・恥ずかしいだろ、そんなの。」

言葉では謙遜していたショウであったが、心の中ではこんな二人には負ける訳ねーだろ!と調子こいていた。

「うん、でも大分おれ達も強くなってきたよな。神河物語のカードも加わったしな。」

コータは付け足した。彼らは9thの他にもカードが存在することを知り、神河ブロックのカードも買っていた。そしてお互いに使わない色のカードはトレードし合うことで自分たちのデッキを強化していった。

「そういえばさ・・・おれ、今度大会に出てみようと思うんだ。」

「ホント?ショウちゃん!!きっとショウちゃんなら優勝できるよ!何てったって残中のチャンピオンだもん!!」

「フフフ・・・まあベストを尽くしてみるよ。楽しみにしてろよ、みんな。おれが残中の名を轟かせてくるよ。」

ショウは言葉通り調子こいていた。この後にショウにとって残酷な運命が待ち受けていると知らずに・・・

〜続く〜
ISBN:4063633519 コミック コージィ城倉 講談社 2004/03/17 ¥410





〜今日のMO〜

構築
3−0
0−1
3−0

昨日から通算で12−1。
まじでこれ本戦で使うのかな(((( ;゜д゜)))


「これがMagic the Gatheringかぁ・・・そういえば前にコロコロに載ってた気がする。買ってみようかな」
「すいませーん。この、9thってやつください!!」

少年は初めてMagic the Gatheringを購入する。
これが運命の出会いということを、彼はまだ知る由もなかった。

少年の名は、ショウ。




〜第1話〜

キーンコーンカーンコーン

昼休みのチャイムが校舎に鳴り響くとショウは窓際に座るコウタの元に駆け寄った。

「おい、コウタ!おれMagic the Gathering買っちゃったよ!コウタ知ってるか、これ」
「あー何かコロコロで読んだ気がするな。で、おもしろいの・・・それ」
「うん!まだ最初だからカードあまり持ってないけど・・・これからおれのデッキを強くするんだ!!最初に買ったパックから《ゴブリンの王/Goblin King》が出たんだ。おれは赤を使うぜ!」

「そっかーショウが始めるんだったらおれも始めよっかな・・・丁度何かおもしろいことないかなって思ってたところだし。」
「やろうよやろうよ!みんなでやったら絶対ハマるって!!他にも誰かに声かけてみようよ」

丁度ショウが話し終わるのと同時に会話に一人の少年が入ってきた。

「おう、ユウジじゃん。今の話聞いてたか!?」
「え、何の話してたの!?ショウちゃんたちが楽しそうにしゃべってたから気になって来たんだよ!何の話してたの!?」
「フフフ・・・この話さ」

ショウはポケットから1枚のカードを取り出した。

「あ!カードゲームの話してたんだ!!これって何ていうゲームなの!?」
「これはMagic the Gatheringっていうカードゲームさ。世界で一番のカードゲームって言われてるらしいよ。昨日買ってみたんだけど・・・ユウジもやってみないか?」
「何だかキレイなカードだよね!ショウちゃんやユウジくんがやるんだったら僕もやろうかな!!」
「よしっ!じゃあ学校終わったらナカジマ行こうぜ、あそこに行ったらカード売ってるから!」

ホームルームが終わるとすぐに3人は自転車でナカジマに向かった。ナカジマというのは元々模型店だったが最近はカードゲームなども取り扱い始め、ショウの家からも徒歩5分ほどの場所にあった。

店に到着すると慌しく自転車を置き、3人は勢いよく店のドアを開けた。

「こんちわー!おばちゃん!Magic買い来ましたっ!!」
「あらいらっしゃい、ショウくん。今日はお友達も一緒なの?」

この店は趣味で店を開いたナカジマさんとその奥さんが経営していた。今日も奥さんの方が店番らしい。

「はい!昨日買って家でおばちゃんからもらったルールブック読んでたらすっごいおもしろそうだったから学校でコータとユウジも誘ったんです!!やっぱりみんなでやった方が絶対楽しいですよね!!」

あまりにも!マークの多いショウの発言に引きつつもおばちゃんはやわらかい笑顔で応対した。コータとユウジはショウと同じ9thのカードを購入し、代金を払うとすぐにパックを開封した。

「おい!二人とも何出た!?絵の右下にあるマークが金色のやつがレアカードらしいぜ!」
「うん、おれはこいつだな・・・《マハモティ・ジン/Mahamoti Djinn》か」
「まじかー5/6飛行とか強すぎるな!コータは青使うことにしなよ!!」

初めて当たったレアカードに運命を感じその色に愛着を持つことも多いが、ショウもその一人であった。ショウはコータの人権を無視し、無理矢理コータに青を押し付けた。

「コータくんは青いカードかぁ!僕はっと・・・《早摘み/Early Harvest》だってさ。土地起こして何が強いんだろ・・・」

地味なカードに全く興味のないショウはユウジの引きに何かしらの優越感を覚えながらテンションでまくし立てた。

「ユウジは緑かーまあクリーチャーカードじゃないけどみんな違う色当たったし使う色決まったじゃん!ユウジは緑使いな!!」

対照的にコータが呟いた。

「うん、たぶんきっと何かのコンボで使うと強いんじゃないかな。さっきおれの当てた・・・《はびこり/Overgrowth》とか一緒に使えばマナが多くでるようになるし、緑のクリーチャーはマナいっぱいかかるしね。丁度いいんじゃないか?」
「そうなの!?よくわからないけどコータくんすごいね!!初めて見たカードでコンボ思いついちゃうなんてっ!!」

そんなやりとりを見ていたショウは嫉妬心がぼうぼうと燃え上がっていた。あたかも《燎原の火/Wildfire》のように・・・

「そうだ、みんなで使わないカードトレードしようよ。そうすれば自分の色のカードも早く集まるし・・・いいだろ?」
「そうだねっ!コータくんあったまいい!!」
「フフ・・・おれが言おうとしちゃったこと先に言われちゃったな。トレードはトレーディングゲームの醍醐味だからね、みんな思いつくことだよな」

嫉妬心ぼうぼうなショウは軽く皮肉を言いつつトレードに参加した。

「あとの白と黒は誰が使おっか?」

ユウジが誰ともなく問いかけるとコータが答えた、

「そうだな・・・おれは黒を使うかな。なんだかこの《闇への追放/Dark Banishing》ってカード使ってみたいんだ」
「うーん、じゃあぼくは白使おうかな!!なんだかこの《慈悲の天使/Angel of Mercy》って使ってみたい!!」

あっという間に使う色がしぼられたショウ。本当は黒を使いたかったのだがコータに取られてしまったため今更言うのもプライドが許さない。

「・・・ショウちゃんはどうする?あとは僕らと色被っちゃうけど・・・」
「フフ・・・おれは赤だけでいいよ。赤だけでゴブリンいっぱい入れたデッキ作るんだっ!」

おまえらは中途半端に2色でも使ってろ、漢なら赤1色で勝負だぜ。心の中で優越感に浸りながらショウは言った。

「よし・・・これからは毎日Magicで遊ぼうぜ!おばちゃん、あそこのテーブルで遊んでもいいの!?」

久々に話を振られたおばちゃんは軽くスネながら答えた、

「はい、いいよ〜仲良く遊ぶんだよ。」
「ありがと、おばちゃん!!」

それからショウたちはゲームをはじめた。そして土地がないとデュエルができないことに気付き、みんなでレジに戻りテーマデッキを購入した。

〜続く〜

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